コンクリートってなにからできてるの?
高専の土木科出身の私が解説します。
コンクリートとは
コンクリートは何からできているのか?
コンクリートは、次の4つのものからできています。
- セメント
- 水
- 砂
- 石
ちなみに、上から順番に混ぜていくと名前が変わります。
- セメント+水=セメントミルク
- セメント+水+砂=モルタル
- セメント+水+砂+石=コンクリート
なんだか、出世魚みたいですね。
ちなみに、ホームセンターで全ての材料が揃うのでご自宅でも作ることができます。
コンクリートは水とセメントの割合だけで大体の硬さが決まります。この水とセメントの割合を水セメント比といいます。水セメント比はコンクリートを作る上で大事な数値です。
コンクリートは、水を減らしてセメントを増やす(水セメント比を大きくする)と硬くなります。
水を減らすために減水剤という薬品を使うことがあります。減水剤を使うとセメント同士がパラパラとほぐれて、より水と混ざりやすくなることによって水の量を減らすことができます。
コンクリートはなんで硬くなるのか?
コンクリートは水とセメントに含まれているカルシウムが化学反応して硬くなります。
コンクリートの中にある砂と石の隙間でセメントが化学反応して接着剤の役割を果たします。
水が乾いて固まるのではなく、セメントと水が化学反応して固まります。
コンクリートの中の水分が足りないとセメントが反応しきらず、水分が多すぎるとコンクリートの中で水が余ってしまいます。適切な水分量で混ぜることが大切です。
コンクリートを型枠に流し込んだ後は、適度に散水して乾きすぎないようにします。
コンクリートの特徴
コンクリートは混ぜた後、数時間は固まらずに流動性を保っています。そして、1〜7日で20%くらい固まり、1ヶ月経つと80%くらい固まります。その後もずーっと硬くなり続けます。
すぐには固まらないけど、長期間かけて固まる。
型枠さえ組んでしまえば、そこに流すだけで好きな形を作ることができる。
とても都合のいい性質で、コンクリートを使うメリットです。
また、コンクリートは押される力に強く、引っ張られる力に弱いという特徴があります。引っ張られる力に対抗するために入れるのが鉄筋です。鉄筋は、押される力に弱く引っ張られる力に強いので、コンクリートとの相性がバツグンです。さらに、コンクリートはアルカリ性なので、コンクリートの中にある鉄筋をサビから守ることができます。
ちなみに、コンクリートと鉄筋の温度による膨張率(伸び)はほぼ一緒です。
コンクリートと鉄筋はお互いの弱いところを補い合う最強の組み合わせです。
ちなみに、コンクリートの硬さを専門的に表すと18〜24N/mm2です。
これを簡単に表すと、畳の上に象さんが乗っても壊れないくらいです。
コンクリートの弱点
好きな形に作ることができ、鉄筋と組み合わせると押される力にも、引っ張られる力にも強くなるコンクリートですが、弱点もあります。コンクリートの弱点は以下の4つです。
- 塩分
- 酸性雨・二酸化炭素
- 激しい気温差
- 反応性骨材
ひとつずつ解説します。
コンクリートの弱点1:塩分
コンクリートの中に塩分が入ってしまうと、中に入っている鉄筋が錆びてしまいます。鉄筋がサビると体積が増える(サビた部分の体積が増える)ためコンクリートの中から外へ押す力が働きます。つまりコンクリートの内部で引っ張られる力が発生するためコンクリートが割れてしまいます。
コンクリートの弱点2:酸性雨・二酸化炭素
コンクリートはアルカリ性です。コンクリート表面に酸性雨がかかるとコンクリートが中性化してしまいます。コンクリートの中性化が進むと鉄筋をサビから守る効果が弱まってしまいます。これも塩分と同様にサビが内部でコンクリートを押し除けるのでコンクリートが割れてしましいます。
コンクリートの弱点3:激しい気温差
コンクリートが固まる前に気温が氷点下になってしまうとコンクリート内部の水が凍ります。水は凍ると体積が増えます。昼夜の気温差などで水が溶けたり凍ったりを繰り返していくうちにコンクリートがひび割れが進行します。
コンクリートの弱点4:反応性骨材
コンクリートに使う石や砂利の中にはセメントの成分と反応して異常に膨張するものがあります。専門用語を使うとアルカリ骨材反応と言いますが、簡単にいうとコンクリートに使った石や砂利の中の悪い成分が膨らんでコンクリートが内側から壊れていく現象が起こります。
このように、丈夫に見えるコンクリートもたくさんの弱点があります。
誰でもわかるコンクリートのまとめ
コンクリートはあなたの住んでいるお家の基礎やビル、トンネルなどに使われていて、身近にたくさんあります。しかも、畳の上に象さんが載っても壊れないくらい丈夫で頑丈なものです。しかし、コンクリートには弱点もあり適切なメンテナンスをしていかないとボロボロに劣化してしまいます。土木技術者は日々、知識と技術を活かして生活が豊かになるように頑張っています。
高専ではコンクリートのことはもちろん、地球環境や防災など、土木全体を学ぶことができます。
以上、土木ブロガーとたん(@act_ik)でした。