締固め試験の考察って難しくない?
実験をするとついてくる考察。
今回は締固め試験にフォーカスを当ててみましょう。
締固め試験の考察に書くべきこと。それは、次の3つです。
- 粒度
- 含水比
- 表面張力
詳しくみていきましょう。
目次
締固め試験の考察の書くべきこと
土の締固めを科学的にまとめたものはプロクターの締固め理論と呼ばれます。
プロクターの締固め理論
プロクターが自らの実際的な経験に基づいてまとめた締固めの原理や締固めの試験方法、締固めの原理のアースダム築造へ適用などについて公に発表した理論
この理論よって大規模な土工が合理的に行われるようになり、土工の安全に対する信頼度を高めました!!
簡単に言うと、締固めの原理を科学的根拠をもとにまとめた理論のことです。
締固めの考察に書くべきこと①【表面張力】
土には3つの要素があります。土粒子・水・空気です。
ここで水が土粒子に及ぼす力について見ていくため水が持つ力について考えてみましょう。
コップいっぱいに水を入れてるとコップの縁から少しはみ出ることがわかります。
これを表面張力と言い、液体が持つ表面を出来るだけ小さくしようとする性質のことです。
これが土の中でも起こると考える=土粒子の間で表面張力が働く
一般的に液体の中に立てた細いパイプ内で起こると表面張力(毛細管現象)は次の式で表されます。
これと締固めになんの関係が・・・?
土の中でもこの現象が起こるとするとどうなりますか?
土の中には水と空気があるので、これと同じ現象が土粒子の間に満ちた水で起きているとすると、
土粒子の間で表面張力が起こります。
(土粒子の間の表面張力と大気圧の間にある圧力差はマイナスになるので、)水が土粒子間を引き合う状態になります。
締固めの考察に書くべきこと②【含水比】
土粒子にも表面張力が働くことがわかりました。でも、締固めとの関係は結局なに?
締固め試験の曲線が山の形になる理由とつながります。
つまり、こう言う関係が読み取れます。
- 土に水が少ない(含水比が低い)=表面張力が小さい
- 土に水が多い(含水比が大きい)=表面張力が働かずに液状になる
こう言い換えられます。
含水比が低い=表面張力が小さい=締固まらない
含水比が高い=土粒子が水に浮く=液状になる
つまり、表面張力が1番働くベストな含水比が存在する
これが締固め曲線が山の形をする要因の一つだと考えられます。
締固めの考察に書くべきこと③【粒度分布】
ここまでは、土の中の水(=含水比)についてみてきました。
一方で土粒子に注目すると、粒度分布も締固め特性に大きな影響を与えます。
粒度分布が悪いと土粒子の間に間隙が多くなります。
つまり、表面張力の式の(半径=r)が大きくなります。
半径が大きくなると、表面張力が働きにくくなります。
つまり、こうです。
粒度分布が悪い=間隙が大きくなる=表面張力が働きにくい
つまり、締固めにくい。
粒度によっても締固め特性が大きく変わります。
締固め試験の考察に書くべきこと【まとめ】
締固め試験の考察に書くべきことは次の3つです。
- 土粒子の間に表面張力が働く
- 土によって表面張力が1番強く働く含水比がある
- 粒度分布が良い土は表面張力が働きやすく締固まりやすい
締固め試験は、決まった回数、決まった重さ・高さで突き固めます。
つまり、同じエネルギーを土に与えると言うこと。
同じエネルギーでも、含水比によって、表面張力の大きさが変わるから乾燥密度が変わる。
含水比について考えてみましょう。
含水比が低すぎる場合
- 締固められて、物理的には詰まった状態になる
- 表面張力が弱いので土粒子同士が締まらない
- 詰まった状態を維持できない=乾燥密度が低い
含水比が高すぎる場合
- 締固められて、物理的には詰まった状態になる
- 土粒子が水に浮いた状態になる(液状になる)
- 詰まった状態を維持できない=乾燥密度が低い
粒度について考えてみましょう
粒度がいい場合
- 土粒子同士が近くなる
- 表面張力が働きやすい
粒度が悪い場合
- 土粒子同士に間隙ができやすい
- 表面張力が働きにくい
土の状態について考えてみましょう
- 土が締固められる
- 土粒子に間隙が小さくなる
- 表面張力が大きくなる
つまり、表面張力が1番大きく働くためには、土粒子の間隙が小さく、ちょうどいい水分がある。
言い換えれば、こうです。
粒度分布が良く、水分が必要な量だけある状態の土が最も締固まる
土の締固めをする前に、やった試験を思い起こしてみましょう。
- 粒度分布はどうでしたか?
- 締固め試験結果は山の形をしていますか?
- ちょうどいい水分(最適含水比)が見つかりましたか?
- 含水比の幅はどうでしたか?
いい考察が書けるように応援しています。