2級土木施工管理技士の2次試験(旧:実地試験)について解説します。
2級土木施工管理技士の2次試験は合格率が20%ほどの難関資格です。実際に『1次試験は簡単に合格できたけど、2次試験は何度も不合格だ・・・。』という人も多いです。
しかし、『効率的な試験対策』を知ることで合格への可能性が格段にアップします。
この記事では2次試験の対策を知るために以下のことについて解説します。
2次試験に合格すれば、2級土木施工管理技士が取得できます。
また、主任技術者になることができたりします。
つまり、できる仕事も増えるので年収アップも期待できます。
2級土木施工管理技士に合格するために必要な要素をわかりやすく解説しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
2級土木施工管理技士の2次試験の受験資格
2級土木施工管理技士の2次試験の受験資格について解説します。
令和6年(2024年)から受験資格が変わりました
令和6年以前は、学歴ごとに必要な実務経験が分けられていましたが、新制度では以下の通りになります。
パターン | 必要な実務経験 |
---|---|
2級土木施工管理技士の1次試験を合格する | 3年以上 |
1級土木施工管理技士の1次試験を合格する | 1年以上 |
2次試験を受験する前に、確認しておきましょう。
2級土木施工管理技士の2次試験(旧:実地試験)とは
2級土木施工管理技士の2次試験(旧:実地試験)について解説します。
2次試験は1次試験とは違い、自身の工事経験を基に与えられたテーマに関する文章を書く経験記述問題(いわゆる、作文)が特徴です。
2024年(令和6年)の試験スケジュール
令和6年ど(2024年度)の試験に関するスケジュールです。
申し込み期間 | 試験日 | 合格発表 |
---|---|---|
2024年7月3日〜2024年7月17日 | 2024年10月27日 | 2025年2月5日 |
出題形式と解答方法
令和5年度の過去問を参考に出題形式を見ていきましょう。
問題番号 | 項目 | 解答方法 | 必須/選択 |
---|---|---|---|
問題1 | 経験記述(安全管理または工程管理) | 文章記述 | 必須 |
問題2 | 安全衛生法(安全管理) | 選択肢から穴埋め | 必須 |
問題3 | 建設廃材の再資源化(建設副産物) | 文章記述 | 必須 |
問題4 | 切土法面の施工(土工) | 選択肢から穴埋め | 必須 |
問題5 | コンクリートに関する用語 | 用語の説明(文章記述) | 必須 |
問題6 | 盛土の締固め管理方法(土工) | 選択肢から穴埋め | 選択1 |
問題7 | コンクリート構造物の鉄筋組み立て及び型枠 | 選択肢から穴埋め | 選択1 |
問題8 | 移動式クレーン作業・玉掛けの安全管理 | 文章記述 | 選択2 |
問題9 | 工程表の作成・所用日数の計算(工程管理) | バーチャート記述・文章記述 | 選択2 |
問題数は全部で9問
問題数は9問あります。問題1〜5までが必須問題で問題6と7、8と9がどちらかを選ぶ選択問題となています。
合格基準=60%(配点は不明)
合格基準は60%以上です。一方で、その配点は不明となっています。
ですが、経験記述が書けていないと合格できません。
試験問題には次のような記述があります。
問題1で
①設問1の解答が無記載または記述漏れである場合、
②設問2の解答が無記載又は設問で求められている内容以外の記述の場合、どちらの場合にも問題2以降は採点の対象となりません。
令和5年度 2級土木施工管理技士 2次試験 過去問
問題1は経験記述問題全体のことを指します。
少し解説します。
つまり、『経験記述がちゃんと書けていないと問題2以降は採点しません。』ということです。
経験記述問題が最も大切
ですので、経験記述が書けていない(採点者に伝わる文章でない)と絶対に合格はできません。
合格率は30%程度
2次試験の過去5年分の合格率を見ていきましょう。
1次試験よりも2次試験の合格率は低い
1次試験の合格率は例年60%以上ありますが、2次試験は30%代で低くなっています。
やはり、2次試験の経験記述問題が正解(採点)できないことが大きな要因となっていると言えます。
また、2次試験は1次試験と違い記述式で解答します。
『単なる言葉の暗記』では採点されないことも理由の1つと言えます。
単なる言葉の暗記では難しい
2次試験はある語句に対して記述式で解答しなければなりません。
具体的にするために、令和5年の問題から解説します。
コンクリートに関する下記の用語①〜④から2つ選び、その番号、その用語について解答欄に記述しなさい
①アルカリシリカ反応
令和5年度 2級土木施工管理技士 2次試験 過去問
②コールドジョイント
③スランプ
④ワーカビリティ
以下、解答の案です。
語句 | 解答 |
---|---|
①アルカリシリカ反応 | 骨材中のシリカとセメントやアルカリ分が反応してアルカリシリカゲルを生成して起こるコンクリートの膨張ひび割れや剥離が生じる現象 |
②コールドジョイント | 先に打ち込んだコンクリートと後から打ち込んだコンクリートの間が完全に一体化していない継ぎ目 |
③スランプ | フレッシュコンクリートの軟らかさの程度を示す指標 |
④ワーカビリティ | フレッシュコンクリートの施工(運搬、打ち込み、締固め、仕上げ)のしやすさ、つまり作業性を表す言葉 |
このように、2次試験は『単なる言葉の暗記だけ』では、正解できません。
2級土木施工管理技士の2次試験対策方法
では、具体的な2次試験の対策方法について解説します。
優先すべきは経験記述
優先すべきは経験記述の対策です。
なぜなら、『経験記述が書けていない(採点されない)』と以降の問題も採点されないからです。
試験の概要でも解説しましたが、経験記述の対策を最優先しましょう。
ちなみに、裏技もあります
2級土木施工管理技士の経験記述には裏技があります。
と言っても、替え玉受験や絶対合格できる文章があるわけではありません。
あなたの工事経験をもとに『経験記述』を作成してくれるサービスがあります。
ちなみに、経験記述って、自身が経験した工事なら誰が考えた文章でもOKです。
詳しくは以下の記事で解説していますので、気になった方は参考にしてください。
具体的な書き方、対策方法は少し後で解説します。
経験記述以外は過去問を解く
経験記述以外は、過去問を解きましょう。
なぜなら、『土木施工管理技士の試験』は過去問がアレンジされて出題されることが多いからです。
これは、1次試験の時と同じです。
過去問の解き方のコツ
2次試験の過去問を解くときのコツは、全てに答えることです。
なぜなら、効率よく多くの問題に答えることができるからです。
例えば、先ほども紹介したこの問題。
コンクリートに関する下記の用語①〜④から2つ選び、その番号、その用語について解答欄に記述しなさい
①アルカリシリカ反応
令和5年度 2級土木施工管理技士 2次試験 過去問
②コールドジョイント
③スランプ
④ワーカビリティ
これは、4つの中から2つを選んで答える問題ですが、過去問を解くときは4つ全ての解答を書きましょう。
めんどくさいかもしれませんが、結局、数をこなした人が合格できます。
ですので、全てに解答しましょう。
勉強の予定を作りましょう
過去問を解く際に重要なのが、勉強の予定を立てることです。
いつまでに、どこまでをしないといけないのか?
これが決まっていないのに、勉強が進むわけないですよね。
予定を立てると言っても難しいことではありません。
例えば、携帯のスケジュールアプリに『令和5年度、過去問』みたいに書くだけで大丈夫です。
あとは、計画通りに勉強を進めるだけです。
ですので、いつまでにどこまでやるのか? 勉強の計画は必ず立てましょう。
もっと具体的には以下の記事の中で解説していますので、ぜひ参考にしてください。
2次試験の難関:経験記述の対策方法
では、2次試験の経験記述の対策方法を解説します。
手順としては、以下の通りです。
ちなみに、先ほど紹介した経験記述の裏技である『作文代行』を利用する場合で上の2つは書かないといけないので、とりあえずやってみましょう。
難しいなと感じたら作文代行を使いましょう。
自身の工事経験から題材を決める
まずは、自身の経験した工事のリストを書き出しましょう。
記憶に残っている工事の方がいいと思います。
なぜなら、『リアル』に書くことができるからです。
『あぁ、こんなことが大変だったなぁ』とか『これはうまくいったなぁ』とか記憶に残っている工事の方が書きやすいはずです。
ですので、自分の記憶に残っている工事を題材にしましょう。
どんな工事だったのかを具体的に埋める
次は、その工事がどんな工事だったのかを具体的に書いてみましょう。
以下のことを思い出してみるといいと思います。
まずは、これらの項目を簡単に埋めてみましょう。
その次に数字も明確に書きましょう
どんな工事をどれくらいしたのか?を書いてみましょう。
例えば、以下のような感じです。
数字を明確に書くことで、次のステップに進みやすく(書きやすく)なります。
課題と対策を書きましょう
『どんな工事で、何をどれくらいの数量をしたのか』を書くことができたら、課題と対策も書きやすいと思います。
経験記述における課題と対策の書き方の基本
『〇〇だから▲▲した』を意識しましょう。
なぜなら、こう書くことで、採点者に伝わりやすい文章になるからです。
「〇〇な課題があるから▲▲という対策をしました。その結果、⬜︎⬜︎になりました。」
採点者と直接話すことができれば楽に伝わるかもしれませんが、試験では文章で伝えなければなりません。
ですので、『〇〇だから▲▲した』を意識しましょう。
経験記述の課題と対策を書くときのヒント:納期・天候・基準
課題と対策を書くときには、納期・天候・基準をヒントにしましょう。
なぜなら、これらは『工事の制約』だからです。
などなど、工事の制約となる納期・天候・品質などの基準をヒントにしてみましょう。
経験記述のテーマ別:書き方の例
課題と対策のテーマは毎年変わりますが、
この3つが圧倒的に多いです。優先的に対策していきましょう。
施工管理と環境対策など他のテーマは準備しなくていいのか?
『準備しなくてもいい』わけではありません。
しかし、過去10年出題されていないことを考えれば優先度は高くないと思います。
(採点者側も採点しづらいのではないでしょうか?)
余裕があれば対策するくらいで大丈夫かもしれません。
安全管理の書き方
題材とした工事の中で、事故(交通事故・労働災害)などを防ぐために何をしたのかを書きましょう。
これらの災害を防ぐために何をしたのかを書いてみましょう。
品質管理の書き方
品質管理は、工事現場の環境(季節、気温、地盤)などに対して、品質を管理するために何をしたのかを書きましょう。
品質に関する値(コンクリートならスランプ値や空気量、舗装なら締固め密度やCBR値など)を確保するためにしたことを書いてみましょう。
工程管理の書き方
工程管理では、工事を工期に間に合わせる(工期を短縮する)ために何をしたのかを書いてみましょう。
事前にわかっている(作業時間の制限など)ことへの対処、または、工事が始まってからわかったこと(不明な埋設物)への対処などを書いてみましょう。
書き終わったら『添削』してもらいましょう
書き終わったら添削をしてもらいましょう。
なぜなら、『採点者に伝わる文章かどうか』を客観的に判断してもらうためです。
経験記述は書いて終わりではありません。
採点者がその文章を通して、工事現場の状況や課題、対策がわからなければ採点されません。
ですので、経験記述が書けたら、添削をしてもらいましょう。
会社の人でもOK、嫌だったらお金を払いましょう
会社の上司や先輩に見てもらうのがお金もかからないので1番いいと思います。
ですが、『なんかちょっと嫌だなぁ』とか『恥ずかしいなぁ』と思うなら、お金を払いましょう。
と言っても、そんなに高いものではなく、数千円で添削してくれる『ココナラ』というサービスもあります。
ココナラは個人のスキルを売り買いするサービスです。
『土木施工管理技士の経験記述を添削します』といったサービスが多数出品されています。
まとめ:2級土木施工管理技士の2次試験に合格するには
2級土木施工管理技士の2次試験について、試験の概要、受験資格、試験対策方法まで解説してきました。
2次試験は過去5年間で合格率が30%代を推移している難関資格です。
この2つが2級土木施工管理技士に合格するための必須条件になると思います。
2次試験は経験記述対策を優先して行いましょう。
また、しっかりとした勉強の計画を立てて、過去問を周回して基礎知識を習得していきましょう。
オススメの過去問はこちらです。
また、2次試験に合格するためには通信教育を利用することも検討してみてください。
2次試験に合格するために通信教育もアリです
働きながら勉強を独学で継続するのがしんどいなら通信教育を利用してみるのもアリです。
と言っても、数十万円するような高いだけの通信教育を使うのはやめましょう。
経験記述の作成から試験の重要ポイントをまとめた資料や10年分の過去問が3万円で利用できる独学サポート事務局やオンラインで全て完結するSATなど、最近は安いけど高品質な通信教育をあります。
以下の記事で解説していますので、ぜひ、参考にしてください。